メッセージ
まだ予断を許さないのかもしれませんが、約3年、ようやく落ち着いた・・・という気持ちで春を迎えています。研究室は早いもので8年目となりました。まだまだ先は長く、残りを数えると叱られそうですが、これまでの年月をステップとし、さらに飛躍していく1年にしたいと思っています。
現在、薬理学の学生実習の真っただ中です。この実習では、鎮痛薬や催眠薬などの薬物の効果を動物や組織標本を用いて検討・観察しており、私が学生であった頃から変わらず続けています。薬理学実習として、恐らく全国どの薬学部でも、内容に違いはあるものの、ほぼ同じような実習を行っているのではないかと思います。ただ漏れ聞くところでは、金銭的なことや人手不足もあり、動物実習を諦めてシミュレーターを用いた実習にシフトしている大学も増えてきているようです。私も何度か実際にシミュレーション実習を見学させてもらいましたが、薬物投与後の血圧や心拍数の変化が、実際に動物に投与した時と同じようにモニター上に波形として現れ、アゴニスト・アンタゴニストの効果もきちんと評価できますので、当然ながら臨場感は皆無ですが、それなりに学習効果は得られるだろうなという感想を持ちました。一方で薬学部生の多くは、将来、生命に影響を及ぼす薬物に携わることになります。解剖実習をしない彼らにとって、薬理学実習は生体を扱う数少ない機会であることを考えますと、シミュレーション実習で本当に良いのか・・・と悩むところですが、背に腹は代えられないというところなのでしょうか。確かに実習の経費は研究室の運営費交付金で賄っていますので、色々と厳しいのは事実です。どこまで現状のまま実習を続けられるのか懸念もありますが、貴重な学習の機会が有益なものになるように、さらに工夫をしていく必要があると感じています。(2023 年 4 月)
過去のメッセージ
長く更新を怠っており、申し訳ありません。
コロナ禍がようやく落ち着きを見せる中、研究室では新たに5名の3年生を迎えました。早速に研究テーマも決まって、先輩たちについて実験をスタートさせています。早く実験にも慣れて、有意義な研究生活を送ってもらえればと願っています。
10月になり、今年もノーベル賞が発表されました。我々が注目するのは医学・生理学賞ですが、今年はTRPの権威であるDavid Jay Julius先生が受賞されました。Julius先生は1999年にcapsaicinの受容体としてVR1(TRPV1) のクローニングに成功したという論文をNatureに発表され、痛み研究に新しい概念をもたらされました。私は学生時に、仲田義啓先生(現・広島大学名誉教授)、井上敦子先生(現・福山大学薬学部教授、学部長)にご指導いただきながら、ラットの一次知覚神経培養細胞を用いてサブスタンスPの遊離機構に関する研究を行っていましたが、この神経細胞はcapsaicinにとてもよく反応しましたので、研究を進める上で大変助かりました。我々の研究室からもcapsaicinを用いた研究成果をいくつも報告させていただいていることもあって、今回の受賞は同じ領域の研究者として非常にうれしく思っています。ただcapsaicinに関して難点だったのがその調製です。capsaicinの溶液を調製するにあたり、薬品瓶から数ミリグラムという微量の粉を計り取るのですが、その際にわずかに舞い上がった粉が手に付き、その手で顔を触って涙が止まらなくなったという失敗を今回の受賞を聞いて思い出しました(苦笑、本当は手袋・ゴーグルをして調製しないといけません!)。また物理学賞では真鍋淑郎先生が受賞され、なんと約50年前に手掛けられたご研究が受賞の対象となったとのことで、先生の先見の明とともに、往年の日本の科学研究のレベルの高さを実感しています。
一方で現在の科学研究を取り巻く環境は厳しいと言わざるを得ない状況です。特にノーベル賞ウィークの頃は科学研究に関する様々な問題がメディアで取り上げられますが、それも一時のことで、多くの方(特にマスコミ)にはあまり興味のない話題なのかもしれません。科学研究に携わる一人として色々と思うことがありますが、もっと声をあげていかないといけません。目先の成果だけを追うのではなく、20、30年後の先を見据えて、地道にやるような研究にも光を当ててくれるといいのですが、現状では無理ですかねぇ。でないと日本の科学研究分野は近い将来、荒野か砂漠のようになるんじゃないかと心配をしています。
研究室は早くも6年目を迎えています。日々少しでも前に進めるようにもがく毎日です。引き続き、叱咤激励をいただければありがたく存じます。何かお気づきの点やご要望がありましたら、私(mnori@hiroshima-u.ac.jp)、あるいは中島(hisaokak@hiroshima-u.ac.jp)、中村(nakayoki@hiroshima-u.ac.jp)までお気軽にご連絡ください。
5年目の春を迎え、キャンパス内でも桜が満開となっていますが、昨今の社会情勢を鑑みますと何となく鬱屈とした日々を過ごしています。
大学では入学式やガイダンスなども中止され、また講義自体も対面からWebを利用した遠隔講義などに変更となる予定です。できるだけ平時と遜色ないコンテンツを学生に提供するべく努力はしていますが、学業に多大な不都合が生じるのではないかと危惧しています。また私たちの研究室が担当する薬理学実習を4月中旬より行う予定です。薬学部での薬理学実習は動物の扱い方や行動実験など通じて薬物の作用を直に学ぶ重要な実習ですので、室内環境や学生・スタッフの体調管理に注意しながら、できるだけ従来と変わらないように行うべく、その対応を考えているところです(GW明けに延期になってしまいました・・・)。一方、研究の方では昨年度末に予定されていた学会もすべて中止となり、また研究用品の流通も一部滞り始めるなど、研究自体にも影響が出てきています。現時点では先は全く見通せる状況ではありませんが、一日も早く鎮静化することを願うばかりです。
少し前ですが、昨年度の第58回日本薬学会中国四国支部学術大会(香川県高松市)にて高校生オープン学会の企画・運営を担当させていただきました。詳細はHP(http://www.kms.ac.jp/~yakuzaib/chushi58/open_high/index.html)を参照いただければと思いますが、中国四国の高校の生徒さんたちに普段取り組んでいる研究成果について発表していただきました。会場の参加者からの熱心な討論も加わって大変盛り上がった会になりました。自分たちの周りにある何気ない現象をサイエンスとして捉え、それらを明らかにしようと熱心に取り組む生徒の皆さんを見て、自分が高校生の頃は・・・と、その場にいることが少々申し訳なく思った次第です。一方で、このようなサイエンスに興味を持ってくれる生徒さんは貴重なのかもしれません。実際は、サイエンス=化学+物理+生物等であり、大学受験の科目としてしか興味がない生徒さんも多いかと思います。生徒さん(学生も含めて)たちに“サイエンスに興味を持ってもらう”ということは、実際はなかなか難しく、我々もその方策に苦慮しています。ですが、薬学に携わる者は、研究者は当然として、薬剤師もscientistでなければなりません。サイエンスの裾野を広げつつ、多くの高校生諸君に広島大学薬学部でサイエンスをやってみたいと思ってもらえるように、このような活動を続けていく必要性を改めて痛感する機会となりました。
4年が経過し、研究室の運営も軌道に乗ってきたという実感があります。研究についても、まだまだ道半ばではありますが、今年度は一層多くの成果を報告できそうです。引き続き、叱咤激励をいただければありがたく存じます。何かお気づきの点やご要望がありましたら、私(mnori@hiroshima-u.ac.jp)、あるいは中島(hisaokak@hiroshima-u.ac.jp)、中村(nakayoki@hiroshima-u.ac.jp)までお気軽にご連絡ください。
研究室を引き継いで三度目の春を迎えました。例年ですと、今頃は大学キャンパスでもあちこちで桜が満開を迎えますが、今年は昨年度末にすでに咲き切ってしまい、少々違和感のある年度始めとなっています。すでにFacebookでもご報告しましたように、2月から研究室の修了生でもある中村庸輝先生を助教としてお迎えし、新しい研究室体制をスタートさせました。これまでのラボの研究に、若いエネルギーと新しい発想を注入してくれることと思います。また学生諸君にとっても色々と相談のしやすい頼りがいのある“兄貴”となってくれるのではないでしょうか。
先日、製薬企業の方々と創薬研究についてディスカッションする機会がありました。改めて考えさせられたことはアカデミアと製薬企業における目指す研究の方向性の違いについてです。もちろん両者の研究目的が違い、製薬企業は利益を追求する至上命題がある訳ですから、方向性が違うのは当たり前です。しかしながら最近は、アカデミアでも成果や利益に直結する、いわゆる“役に立つ研究”を指向することが色々な面で要求されています。もちろん創薬研究の最終目標は人類の健康に寄与することですが、アカデミアで行う研究がすべていわゆる“役に立つ研究”である必要はないと思っています。そもそも“役に立つ研究”とは何でしょうか?誰の役に立てばいいのでしょうか?以前、恩師に「どんな小さな研究結果でも絶対に論文発表しなければいけない。研究室に埋もれさせることこそ研究費の無駄使いだ。」と言われたことがあります。それ以来、私自身はどんな些細な研究成果でも、それは世界のどこかの研究者の役に立っていると思い、論文として発表することを肝に銘じています。すなわち、同じ分野の研究者がその研究成果を知ることで、自身では着想しえなかったような新しいアイデアをもたらし、それがさらなる研究の発展に繋がるかもしれません。また同じ研究を正に今始めようとしているのなら、それを思いとどまらせることになり、研究費と時間の無駄使いを防ぐことになるかもしれません。色々な考え方があるかと思いますが、アカデミアが為すべき研究として忘れてはならない一面ではないかと思います。
この度、ラボのホームページをリニューアルいたしました。オフィシャルな情報は本ホームページにて発信してまいりますが、学会や研究室のイベントなどはFacebookにてお伝えしていきますので合わせてご覧いただければ幸いです。何かお気づきの点やご要望がありましたら、私(mnori@hiroshima-
u.ac.jp)、あるいは中島(hisaokak@hiroshima-u.ac.jp)、中村(nakayoki@hiroshima-u.ac.jp)までお気軽にご連絡ください。
すっかり更新をさぼってしまいました。申し訳ありません。Facebookの方は定期的に更新していることもあり、HPの方を疎かにしておりました・・・。反省しております。今年度も10月より3年生5名を新しいメンバーとして迎えました。1年経つのは早いなぁと思いますが、そのスピードに負けないように日々成長し、それと共に成果も出していかなければいけません。
昨年4月より学部の役職として就職担当を仰せつかっている関係で、多くの企業、病院・薬局の方々から就職に関するお話を聞かせていただく機会が増えました。お話を伺う中で、広島大学薬学部の学生に対して大きな期待を持っていただいていることを実感し、その期待に応えられる学生を一人でも多く社会に輩出していかなくてはならないという責任を感じているところです。またラボのOB・OGの方々には、是非とも後輩たちの就職活動に対する温かいサポートをお願いできれば幸いです。一方で、最近気になることは、ラボに配属された学生に現時点での就職希望を尋ねますと、薬学科生(6年制)のほとんどが「薬剤師を希望しています。」と答えることです。もちろん薬学部薬学科は高い専門性を備えた薬剤師を養成することを目標の一つとして掲げておりますので、そう考えることは至極当然だとは思います。私自身も薬剤師になるつもりで薬学部に入学しました。しかしながら、薬学部に薬学科と薬科学科(4年制)ができてから、学生諸君の中に「薬学科生は薬剤師として就職するのが当たり前」という雰囲気があるように思えてなりません。確かに現在の就職状況をみれば、薬剤師としての就職の方がハードルは低く、製薬企業等となりますと就職活動の厳しさを含めてハードルがより高いのは間違いありません。ただ学生諸君に考えてほしいことは、何を基準に就職を決めるのか?ということです。自分はどうだったかな?と思い記憶を辿りますが、結局のところ研究が面白く、好きだったからこの道を選んだのだろうと思います。もちろん人ぞれぞれだとは思いますが、この先の30〜40年間、本当にその仕事がしたいのか?ということをじっくり考えてほしいなと思います。私としては人生を共に歩むことができる仕事に就いてほしいと思いますし、それを探して見つけて、そして実現できる3年間半にしてもらいたいと願っています。
新体制がスタートして早いもので半年が過ぎました。私事で恐縮ですが、新たに受け持つ講義の準備や会議などに忙殺され、あっという間に時間が過ぎたように感じられます。改めて仲田先生の偉大さを感じる今日この頃です。
さて10月より、3年生5名が研究室メンバーとして加わりました。新体制になって初めて迎えたメンバーです。是非とも研究の楽しさ・奥の深さにどっぷりとはまってもらって、大きく羽ばたいてもらえるよう懸命にサポートしていきたいと思います。
最近の学生さんと話をしておりますと、将来のビジョンを持ってないなと感じることがあります(新加入の学生さんたちのことではありません、あしからず)。確かに、今の社会情勢では将来のビジョンを描きにくいのかもしれません。しかし、明確なビジョンを持ち、それに向けて準備や勉強をしている学生の多くが、研究や就職活動に成功しているのは紛れもない事実です。どの本で読み得たのか失念してしまいましたが、「努力した者が皆、成功するとは限らない、しかし成功した者は皆、努力をしている。」という言葉があります。明確なビジョンがあってこそ、それに向かって努力も続けることができると思います。研究室の学生諸君には、研究や日々の学習においてだけではなく、様々なことに対して個々のビジョンを持ち、その成就に向けてワークすることを大切にしてもらいたいと思っています。
この度、新たに(遅ればせながらですが)、我々の研究室のFacebookを開設しました。トップページにバナーを貼りましたので覗いていただければ幸いです。あくまでオフィシャルな情報は本ホームページにて発信してまいりますが、オフショットなど様々な情報をFacebookにてお伝えできればと思っております。合わせてどうぞよろしくお願いいたします。何かお気づきの点やご要望がありましたら、私(mnori@hiroshima-u.ac.jp)、あるいは中島(hisaokak@hiroshima-u.ac.jp)までお気軽にご連絡いただければ幸いです。
2016年3月末日をもちまして、仲田義啓先生がめでたく定年退職され、4月1日付で広島大学名誉教授にご就任されました。その後任といたしまして同日付で私、森岡徳光が教授として着任いたしました。瀬川富朗先生、仲田義啓先生により脈々と受け継がれてきました広島大学薬効解析科学教室の歴史と伝統を大切にしながら、さらに新しい風も取り入れつつ、研究室の運営を行っていきたいと思っております。
昨今の社会情勢の影響を受け、大学に期待されるものも段々と大きくなってきております。我々、大学薬学部の使命と致しましては、薬学の教育・研究を通じて得られた成果を基に、社会に貢献・還元していくことかと思います。まずは本研究室の学生には、広島大学薬学部生・大学院生としての誇りと矜持を持つことの大切さを伝授することで、将来の薬学社会を担えるような人材を一人でも多く輩出できるように指導してまいりたいと思っております。また研究面では、仲田先生ご在任時より行っておりました中枢神経系薬理学、特に慢性疼痛と精神疾患についての研究を極めていきたいと考えております。何時になるかわかりませんが、これらの研究成果を“創薬”という形で、一日でも早く社会に還元できるように鋭意努力をしてまいります。
2016年4月からは、私と中島一恵助教と学部生、大学院修士生あわせて17名で新たな研究室をスタートさせました。瀬川研・仲田研卒業生の方々をはじめとする関係各位の皆様からは、これまでと変わらぬご指導・ご支援をいただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
今後も随時ホームページの更新を行っていきたいと思います。(近いうちにリニューアルしたいと考えいます。)何かお気づきの点やご要望がありましたら、私(mnori@hiroshima-u.ac.jp)、あるいは中島(hisaokak@hiroshima-u.ac.jp)までお気軽にご連絡いただければ幸いです。